
横浜自然観察の森は、多摩丘陵から三浦丘陵へと続く「いるか丘陵」に点々と位置する緑地の一つです。横浜市内最大の緑地「円海山周辺緑地」の南端にあたり、北東側に接した5つの市民の森(釜利谷、峯、 氷取沢、瀬上、金沢)とともに、面積約700haもある大規模な緑地を形づくっています。

NPO法人鶴見川流域ネットワーキング(いるか丘陵ネットワーク事務局)の地図を基に作図(地図:国土地理院地図)
「いるか丘陵」は、慶應義塾大学名誉教授 岸 由二 氏により命名された。
この緑地は、さらに南隣の鎌倉市部分と合わせて、首都圏近郊緑地保全法により「円海山・北鎌倉近郊緑地保全地区」(面積1,096ha)に指定されています。鎌倉市の歴史的風土保存区域や逗子市の池子の森ともつながっており、これらを含めると、連続している緑地の面積は3,000haを越え、神奈川県では西部の箱根・丹沢山地に次ぐ規模を誇っています。
円海山周辺マップ横浜市HP(PDF/2.55MB)
横浜自然観察の森は、柏尾川の支流である「いたち川」の源流のひとつを抱えています。森の斜面に降った雨が谷に集まることで生まれた源流には、ゲンジボタルやカゲロウ、オオルリなどの清流にすむ生きものが生息しており、毎年、市内のいくつかの小学校の宿泊体験学習の機会に、源流の森を学習するプログラムも実施されています。
川の源流
「横浜市 水と緑の基本計画」では、多様な生きものの生息環境として重要であることから10の河川とその周辺のまとまった緑地を「緑の10大拠点」として保全する方針をうたっており、その中にも円海山の周辺が挙げられています。横浜自然観察の森を含む円海山周辺の緑地は、横浜市の施策上も、生物多様性保全の重要な拠点となっているのです。
横浜自然観察の森は、もともとミニゴルフ場の開発が行われていた場所だったため、開園当初は造成により草地化した環境をどう復元し、また整備工事によって新たな環境要素を加えていくかが大きな課題でした。しかし開園後、レンジャーや友の会のボランティアによる観察や調査結果が蓄積された結果、この場所には草地や森林も含めて、非常に質の高い自然環境が残されていたことがわかってきました。
川の源流部とそれを囲む森林や草地、起伏の大きな地形といった変化に富む環境が互いに作用しあい、開園から30年の調査結果からは、鳥類165種、哺乳類16種、昆虫類約2,450種、植物約910種など、合計3,500種以上の生物の生息が確認されています。2015年3月の時点で、鳥類では神奈川県で記録されているうちの35%が確認されており、横浜市内から緑地が減少する中で貴重な財産となっています。


中央の矢印を左右にスライドさせると、1986年と2016年の様子を比較をしながらご覧いただけます。
|